2011年3月11日の東日本大震災以降、約5年間に渡って関わらせて頂いた
岩手県の新聞社、岩手日報のプロジェクト「いわてのテとテ」。
何かしたい、でも何をしていいかわからない。
そんな想いが全国にあふれる中で、今、メディアにできることはなんだろう?
停電が続き、水やガスがまだ復旧していなくても
震災の数日後には各地の人の手を渡って避難所に届きはじめた「新聞」という媒体に、
全国からの想いをのせて届けるという、とてもシンプルな企画としてスタートしました。
サイトでメッセージを集め、新聞に掲載し、その紙面は避難所にも掲示。
数ではなく、確実に届くこと。
本社がある盛岡から何度も何度も沿岸部に足を運ぶ岩手日報の柏山さんとともに、
現地のみなさんに寄り添う表現を心がけて制作し、
わたしは企画全体のプランニングやディレクションのほか
紙面に添える短いコピーを毎回書いていました。
岩手からの想い。岩手への想い。
伝え合うことが、前に進む力になる。
県内外からの反響、避難所で掲示された紙面を見てくださる方々の写真。
想いを伝え合うことの力強さを本当に思い知りました。
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2014年には陸前高田に住むハタチと、神戸に住むハタチ、
二人の対話を岩手日報紙面、WEB等で展開しました。
greenz.jpではその対話の内容を記事にしました。
3年目の3.11。陸前高田で未来を誓い合う、それぞれに大震災を経験した ハタチの対話「こうべといわてのテとテ」
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2015年には岩手出身のレゲエシンガー・リクルマイさんの歌う「きたぐにのはる」を起点に、
震災以降ずっと現地に通い「東日本」をテーマに描いてきた小池アミイゴさんを誘っての制作。
アミイゴさんとは宮古市内で子どもたちと大きな絵を描くワークショップも実施しました。
二人の対話は岩手日報ウェブサイト内で記事にしたのですが、もう削除されてしまって・・・
コロカルに少しだけ残っています。
https://colocal.jp/news/45162.html
ワークショップや二人のそぞろ歩きの様子、アミイゴさんの宮古のスケッチなどはダイジェスト動画で。
最後にリクルマイさんがつぶやく一言、
ひとりでは何もできないけど、こうやってふたりになったら、
話をして、話を聞くだけでも、なにかね、救いになったりするから。
うん、そんなことを考えて
岩手と神戸や、リクルマイさんとアミイゴさん、そしていわてのテとテでの想いの伝え合いをじっくりじわじわと続けてきたのだなあと思います。そしてわたしにとっては、常に現地の今を伝えてくれた岩手日報の柏山さん、一緒に企画をつくったデザイナーの横尾美杉ちゃんとの対話そのものでもありました。
2011年には日本新聞協会「新聞広告賞」、「グッドデザイン賞」等を受賞。
10年近く広告会社に勤めましたが、賞を頂いたのはこれが最初で最後!
想いを同じくする人とともに、自分の信念のままに仕事をすることしかできないんだなあわたしは、と思い知った思い出深い仕事です。
岩手県内限定でTVCMも放映。協力してくださった博報堂ECDの川添さん、アンデス吉田さん、楽曲を提供してくれた廣瀬拓音(キウイとパパイヤ、マンゴーズ)にSpecial Thanksです。
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いわてのテとテ
Producer : Gen Kashiyama (Iwate Nippo) / Communication Designer, Copy Writer : Yumi Sato (Hakuhodo Inc.) / Art Director, Designer : Misugi Yokoo / Movie Director : Masahiko Sasaki /Web Programmer : Mikihiro Hayashi, Tomoaki Shimajiri / Client : Iwate Nippo