「ウサギニンゲンとつくる おやこの”ぐるぐる”島合宿2019」を今、ふりかえる

COVID-19の影響でほとんどのイベントも、旅も、なにもかもが延期、中止、自粛となっています。実際にその場を訪れて体験することや、その場をプロデュースすることをなりわいとしているわたしにとって、それはそれは致命的で、仕事は全部ふっ飛びました。

過去に実施したいろいろを振り返る時、みんなで集まって、密着して、一緒に楽しんでいる写真を見て、「こんなに近づいてて大丈夫!?」なんていう反応がふと頭に浮かんでくる今の自分が不思議です。これまでの当たり前が、今はしてはいけないことになり、そして事態が長期化することになれば当たり前が当たり前ではなくなることもあり得る。そんな岐路に、人間は立たされてしまいました。

それでも諦めたくない。
人間が今の生活を見つめ直して、一人ひとりがさらに自分に還っていく。その過程にいると捉えて、できることを、ワクワクすることを、発信し行動し続けたいと思っています。

瀬戸内海の豊島に住むアーティスト・ウサギニンゲンとはじめるオンライン企画「ウサギニンゲンと空飛ぶゾウ」もその一つ。これによってオンラインでつながることができた子ども、そしておとなとは、きっといつか島で大集合できることも見据えています。

昨年実施した「ウサギニンゲンとつくる おやこの”ぐるぐる”島合宿」
次、いつ開催できるのか、まだまったく先が見えない状況ではありますが、バタバタにかまけてまとめることもできていませんでした。今改めて、あの数日間はなんだったのか、ふり返ってみようと思います。

photo by Chisaka Nishimura

こども23人+おとな17人の、小さな村の物語

このサマーキャンプを企画した理由。それはわたしの息子トワ(2020年4月現在7歳)とウサギニンゲンのしんちゃんとの交流を見ていての気づきでした。2歳のとき、初めてウサギニンゲンの公演を見たトワはふたりの機械に駆け寄って離れず、その後ベルリン、豊島へと何度も遊びに行ったわけですが、4歳くらいの頃からしんちゃんとふたりで海に遊びに行ったり、ふつーに話をしたり、釣りに行って魚を釣ってきたりするようになっていました。

トワはしんちゃんのことを”友達”と思っているようだし、しんちゃんも子どもを子ども扱いせず、一人のひととして接するのがおもしろい。彼らにも子どもが生まれたこともあり、子どものことを一緒にやってみよう!と生まれたのが、豊島での、親子で参加のサマーキャンプ企画でした。

通常のサマーキャンプとは一味違う告知文を見て集まってくれた、全国のおもしろ親子たち。夏休みとはいえ平日での実施だったため、ほとんどがお母さん+子どもという組み合わせ、お父さんは1人のみ!子どもは2歳〜小学校4年生まで、男女半々くらい。総勢40人。豊島の人口は800人ですから、40人って結構なインパクト。もはや小さな”村”です。

子どもたちが島に集結してみると、やっぱりしんちゃんはしんちゃんのまま子どもと一緒になって遊ぶ。不思議と子ども心を掴んでしまうのに、時間は半日もかかりませんでした。島を舞台に、小さな”村”の物語がはじまります。

photo by Chisaka Nishimura

暮らしの中にすべてがある、ウサギニンゲンの日常に潜入

今回、わたしがみんなに体験してほしかったこと。ウサギニンゲンの暮らす島に行って、彼らとともに制作をして、最終的には彼らの劇場で子どもたちも一緒に公演をする!・・・という絵はもちろん描いていたけれど、それよりもなによりもまず、島の豊かな環境の中で、すべて自分たちの頭で考え、自分たちでつくって、そのまんまの自分たちで暮らすことを真剣にしてみてほしいと願っていました。ここを一番大切に、そしてその暮らしの中で、想像や創作が生まれたらいいねって。

なぜなら、ウサギニンゲンはアーティストである前に豊島の”島民”であり、暮らしを一番大切にした上で、その中から生まれるさまざまな営みを表現し、創作を生み出しているから。島で暮らし、島のひとたちと関わることで、「ウサギニンゲン劇場」という場をつくったり民泊をはじめたり、子どもたちのための遊具をつくったり・・・と、この島暮らしなくして彼らを語ることはできないのです。(詳しくはこちら:greenz.jp の記事にまとめました)

その感覚を丸ごと、体験してほしい。
子どももだけれど、実は、おとなにこそ。
そうして、リクエストの多かった、一般的な子どもだけ参加するサマーキャンプの形式ではなく「おやこで」参加する、「ウサギニンゲンとつくる おやこの”ぐるぐる”島合宿」が生まれました。

島のひとたちから提供していただいた野菜たちがどっさり。愛情たっぷりの、ぴっかぴか。 photo by Chisaka Nishimura
畑の草抜きをお手伝い。そして、野菜の収穫も自分たちの手で!photo by Chisaka Nishimura
漁師さんに直接発注したおまかせお魚は・・・超特大の鯛がドーン!photo by Chisaka Nishimura

やっぱり”暮らし”は・・・偉大だね!

食材調達から調理まで、すべて自分たちでする「ぐるぐる島合宿」。一人ひとりができることを持ち寄って、どこまでできるのか。こんな合宿のプロデュースはわたしも初めてで、手探りでしたが・・・いやはや、参加のお母さんたちには本当にフル回転で大活躍していただきました。40人分のごはんを何食も準備するのはものすごく大変。それでもほとんどの方が初対面とは思えないチームワーク、役割分担、コミュニケーション能力で素晴らしい連帯感も生まれて。料理人である参加者の愛ちゃんがいなかったら大変なことになっていたかもしれないけれど、これも奇跡。

このしっちゃかめっちゃか・・・これこそが暮らしであり、こんなに濃い時間を過ごせたからこその良さもあったのも間違いなく、さらにお母さんたちにも、もっと大人だけの時間や学びも楽しんでほしい。そのバランスを追求していくことが、今後のぐるぐる島合宿のチャレンジになりそうです。

夜に蝉が羽化しているのを真剣に見守る子どもたちと、飲みながらワイワイするおとな。photo by Chisaka Nishimura
プロの料理人である参加者の愛ちゃんがつくるほわほわのだし巻き卵、美味しかった〜 photo by Chisaka Nishimura

島の素材でつくりだす、みんなとウサギニンゲンの作品

そんな、暮らしだけでバタバタの数日間だったけれど、海までの散歩の間に自然素材を集めてきて、しんちゃんのアトリエに潜入して道具を見せてもらい、じっくりと創作に没頭。子どもたちがもつ、スイッチが入ると深く深く潜っていける集中力にはいつも驚かされます。限られた時間の中で、今回は一人ひとつ、もしくは数人で作品をつくり、それをみんなでストーリーに仕立てて、最終日にウサギニンゲン劇場にて上映という運びになりました。

初日はまず、島のオリーブの木をつかった名札づくりから。
本格的な工具を前に、真剣な表情。実現したいことを一生懸命説明する。photo by Chisaka Nishimura

できあがった作品をずらりと並べ、一人ひとりに発表してもらい、みんなでその説明を聞く時間。どの子も顔をぴかぴかさせて、恥ずかしがり屋の子もちゃんと自分の言葉で想いを聞かせてくれました。もちろん、おとなも!

photo by Chisaka Nishimura

一夜明けた発表の日。
目を覚ますと、わたしの顔を覗きこむ、小4の たお。
「ゆみちーん!できたで!」と、台本のような紙を出して「あんな〜」「そんでな〜」と、もう説明をはじめてる。女子たちで相談して、まとめた意見を持ってきた彼女。こんなことが起きるとは正直、思ってもみなかった。わたしも、ウサギニンゲンしんちゃん・えみちゃんも、この子どもたちの、自然と湧き上がってきた天然クリエイティビティに全力で応えなければと一気にスイッチが入る。うれしくてうれしくて、この時点で、あ〜本当にこの場をつくってよかったーーーと感謝と感動で胸がいっぱいになります。さあ、もうすぐ本番!

最後のリハーサル!不思議と、全員が主役の舞台ができあがっていく。つくった作品はえみちゃんがTA-COでスクリーンに映し出したり、影や楽器として活躍したり。photo by Chisaka Nishimura
「こどもげきじょう、はーじまるよー!きてねー!」とチンドンパレードで島内に告知!photo by Chisaka Nishimura
本番直前! photo by Chisaka Nishimura

公演は大成功!チンドンパレードで集客もして、島に観光に来ていた中国やスペイン、オーストラリアなど海外の方も見てくださいました。つくったものを発表する機会は、とても大切。島での思い出とともに、この公演のことがみんなの大きな自信につながってくれたら嬉しいし、つくることの楽しさを身をもって体験できたことが、これからの何かに、つながってくれたら。

劇場の前で全員集合!photo by Chisaka Nishimura

子どもたちの声が響く、島の風景

ウサギニンゲンのふたりが豊島に移り住み、3年の月日をかけて島の人たちと築きあげた関係性。ご近所さんたちにもバーベキューに参加していただき、いや、参加どころか準備までたくさん手伝っていただき、野菜をどっさりいただき、宿のことでやり取りをさせていただき・・・たくさんのサポートをしていただいてこそ、ぐるぐる島合宿を開催することができました。

ウサギニンゲン劇場の目の前にある豊島の名所「唐櫃の清水」photo by Chisaka Nishimura

唐櫃の清水(からとのしみず)でスイカを冷やし、創作で汚れた手足を洗い、ワイワイと走り回る子どもたち。宿泊していた「てしま自然の家」はかつては小学校だった場所。ご近所さんのほとんどはこの小学校の出身で、まだ豊島に子どもが多くいた頃を知っています。

「島に、こんなにたくさんの子どもがおるなんて、久しぶりや!」

うるさーい!というでもなくとても喜んでくださった島のみなさん。こうした景色を作りだせたことがなによりも、大きな喜びです。

みんなでスイカ割り。夜には花火も。photo by Chisaka Nishimura

「あんなおとなになりたい。」
へんちくりんなおとなとの出逢いを今、たくさん。

「オレ、しんちゃんみたいなおとなになりたい」
「どうして?」
「だって・・・あんなに真剣にドッジボール一緒にやってくれてさ、うれしかった。」

参加してくれた小4の遼太朗が家に帰ったあと、何気なーく、お母さんのいぐっちゃんにこんなことを語ったそう。終始、最年長おにいさんとしてクールにキメていた彼が、ドッジボールのことで刺さっていたのか!というのが笑えるけれど、

海でちまちま遊ぶ子どもたちを横目に「お前らァ、海に何しに来たんじゃァァァ!!!」と服のまま飛び込んでみたり、スイカを角材でこなごなに割ったり・・・

スイカ割りのクライマックス、しんちゃんに叩き割られたスイカ・・・ photo by Chisaka Nishimura

それでも創作の時には真剣に受け止めてくれたし、初日に見たウサギニンゲンの公演は今までに見たこともないかっこいいものだったし・・・そんないろいろに、何か感じるものがあったのかなあと想像します。

子どもたちが出逢えるおとなって、基本的には親と学校の先生たち。かつては近所にお祭りがあって、その共同体の中で、子どもは「ナナメの関係」のおとなたちや先輩たちに育てられ、また自分より小さい子たちの面倒を当たり前にみたもの。それが失われた地域が多い中、やっぱりわたしは「子ども時代から、多様なおとなに出逢うこと」を大切にして、そんな場をつくっていきたい。しんちゃん・えみちゃんのようなおとなもそうだし、島のひとたちも。へんちくりんなおとなとの出逢いが、人生を豊かにし、その選択肢をどんどん広げていってくれるのではと思っています。

だから諦めずに。
これからも体験を軸に、おとなと子どもが混じり合う場をつくっていきます。そう、おとなにとっても、子どもや若者と接して、ガチガチに固まったアタマとココロをほぐすことも重要。先の見えない世の中、行き当たりバッチリ!な即興こそを大切に、生きていこう。

「ウサギニンゲンとつくる おやこの”ぐるぐる”島合宿」、次の開催をお楽しみに!

photo by Chisaka Nishimura

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